敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
詳しい事情は聞いていないみたいで、「誰を懲らしめるの?」と聞かれて返答に困った。ひどい失恋の話はできればあまりしたくない。
雪菜もあまり深く詮索してこなかったためホッとした。
「お忙しいのに本当にすみませんでした」
「ううん、たまたま時間が空いてたから気にしないで」
鏡越しに雪菜が念を押す。
「聖さんには高校受験のときに家庭教師をしてもらってお世話になったしね」
「聖さんが家庭教師?」
「ちょっと意外でしょう? ああ見えて、結構真面目なの。医者になるくらいだから頭が良くて勉強もできたしね」
出会い方はセンセーショナルだったし、その後の言動も型破りなため、イメージとは違う。家庭教師といったら、もう少し手堅い印象だ。あくまでも七緒が持っているイメージに過ぎないけれど。
「お兄さんに教わらなかったんですか?」
「血が繋がってるとダメ。わからないと頭ごなしに怒るんだもの。お互いにピリピリするしね」
「そいうものですか」