敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「七緒さん、どう?」
ドア越しに声を掛けてきた雪菜に「今、開けます」と答え、脱いだ洋服を抱えてパウダールームを出た。
七緒を見た瞬間、雪菜がぱぁっと顔を輝かせる。
「やっぱりこれで間違いないわ。七緒さんのために作られたドレスみたい」
「どれどれ」
雪菜の後ろから、リビングで待っていたはずの聖も現れた。
七緒を目にして、表情がそのまま固まる。ストップモーションを掛けたみたいにまばたきもせずにじっと見入るが、そんな彼を前にした七緒もまた同じように目を見張った。
聖がジーパンから光沢のあるグレーのスーツに着替えていたためだ。ダークレッドのアスコットタイがとてもおしゃれなうえ、いつにも増して男の魅力に溢れている。
「すっごく綺麗でしょ、聖さん」
「……ああ。予想していた以上」
息を深くため、実感を込めた言い方だった。