敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

夜勤明けだというのに七緒たちの変身のために強制的に場所を提供させ、騒がしくしたのは申し訳ない。

用意してもらった靴を履き、ふたりは頭からつま先まで全身を雪菜のコーディネートに包み、意気揚々とマンションを出た。目指すは唯斗と恵麻が待つ婚約披露パーティーである。

会場となっているのは、誰もが一度は名前を耳にしたことのある高級ホテル『ラ・ルーチェ』だ。製薬会社の取締役を父に持つ、恵麻らしい選択と言えるだろう。

時間に余裕はあったが、途中渋滞に巻き込まれ、ホテルに到着したときには十四時を少し回っていた。

開始時刻を過ぎたが、聖曰く「そのくらいがちょうどいい」のだとか。遅れて登場するほうがみんなの視線を集められるからインパクトが大きいと。

七緒はあまり注目の的になりたくないが、自信に満ち溢れた聖ならではの発言だ。
招待状で確認しつつ、三階の会場へエレベーターで向かう。


「緊張してる?」
「ほんの少し」


親指と人差し指で隙間を作って見せる。
< 177 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop