敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
七緒を勇気づけるためだと心得ているのに、真っすぐ見つめられて鼓動のリズムが狂う。そそくさと目を逸らしたら、聖が笑みを漏らすのが視界の隅に映った。なにを照れてるんだよと思われたのかもしれない。
受付を済ませ、ドアマンにドアを開けてもらうと、賑やかな空気が波のように打ち寄せてきた。
親しい友人や知人だけの簡単なものだと招待状に書かれていた通り、人数はそれほど多くない。ビュッフェ形式のようで、招待客たちは思い思いに輪を作り、料理を片手に歓談している。
聖に手を引かれ足を進めていたら、方々から視線の矢が飛んできた。おそらく聖に見惚れているのだろう。今日の彼はとにかく素敵だから無理もない。
「七緒、みんながキミを見てる」
「えっ、違いますよ。聖さんを見てるんです」
耳元で囁いた聖に七緒も囁き返す。
「そうじゃない。よく見てみて。特に男たちなんて口が半開きだ」
言われて目線をさっと彷徨わせたら、男性たちと次々に目が合った。彼の言うように口元は緩み、呆けたような表情をしていた。