敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

「ほんとに綺麗だから無理もない。とびきりいい女を連れてる俺まで鼻が高いな」
「と、とびきりって……」


褒め倒されて顔が熱い。澄まして歩いていたが、慣れない状況に晒されて毛足の長い絨毯にヒールのつま先が引っ掛かった。


「――あっ」
「っと、大丈夫か?」


とっさに聖に腰を支えられて転ばずに済んだものの、意図せず聖と接近して鼓動のほうが躓いたように変なリズムを刻む。顔を上げると聖と間近で目が合い、心拍がさらに乱れるからかなわない。


「ごめん、なさい」


そそくさと視線を逸らして体勢を立てなおしていたら、視線の先で驚いたように手をあげる女性がいた。グランビューレで一緒に働いていた講師だ。七緒とは同年代である。


「久世さん!?」


彼女の声に反応して、近くにいた元同僚たち三人が七緒の元にやって来る。
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