敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
唯斗と恵麻を名指しして声をひそめ合う。
「あの、私なら平気だから。みんなにはいろいろとご迷惑をかけてごめんなさい」
七緒も心の中では似たような葛藤を抱いているが、口に出したら負けた気がするためぐっと堪える。それに、今さらなにを言っても結果は変わらない。
「迷惑なんて。ねぇ?」
「そうよ。久世さんじゃなくて岡田さんが辞めればよかったのに」
「ありがとう。でも本当に大丈夫だから」
七緒が宥めていると、みんなの視線が横にスライドする。そこでようやく聖の存在に気づいたようだ。七緒に気を取られていたため、大人しくしていた聖が視界に入らなかったらしい。
三人がまばたきも忘れて聖に見入る。
「それで、こちらは……?」
代表して口をひらいたひとりは、かろうじて言葉が出てきたような様子だ。
「ご挨拶が遅れました。加賀谷聖と申します」