敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「彼は――」
「友達に見えるのだとしたら心外ですね」
七緒を遮って聖が答えた。腰に添えていた手で七緒を引き寄せる。半身がぴたりと聖にくっついた。
「それじゃ……」
「お付き合いさせていただいております」
不意打ちでチュッと音を立てて髪にキスを落とされ、ピクンと肩が揺れる。
恵麻は目をまたたかせ、その隣で唯斗は眉根を寄せた。別れてまだ二カ月なのに、もう次の男を見つけたのかと驚いているのだとしたら、それはそのままそっくりふたりに突き返したい。
聖は胸ポケットから取り出した名刺を恵麻に手渡した。
「……医者? えっ、加賀谷医療センター!?」
恵麻が呟きながら愕然とする。名刺に書かれた名前を見れば、彼がその跡取りだと一目瞭然。七緒が、都内でも有数の病院の次期院長を彼氏として連れてくるとは想像もしていなかっただろう。招待状を渡したときに同伴者も大丈夫だと七緒に言ったのは、〝そんな人はいないだろうけど〟という嫌味が暗に含まれていただろうから。