敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

突然ぐいと手を引かれ聖が歩きだす。


「そうと決まれば行くぞ」


嬉々とした横顔を見たら、七緒もうれしくなってくる。


「思いきり楽しみましょうね」
「ああ、そうだな」


眩しい笑顔に七緒も笑い返す。

彼氏と友人に裏切られ、失意の底にいたのが嘘のよう。クルーズ船で聖と出会ったときには、楽しい気分になれる日がこんなに早くやって来るなんて想像できなかった。

泣き寝入りで終わりを迎えようとしていた過去の恋にきっちり落とし前をつけられ、これでしっかり前を向いて歩ける。

それもこれも聖がいてくれたから。彼に振り回されているように感じていたが、その強引さにつくづく助けられた。

聖がいなかったら、きっと未だに深く暗い闇の中で蹲っているだけだったろう。今日のパーティーでさらに打ちひしがれ、自信を根っこから引き抜かれて立ち直れなかったかもしれない。
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