敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

「妊娠もしてなかったって」
「そうなんです。私、勘違いしちゃって。お騒がせしてごめんなさい」


謝っている割に笑顔だ。つまり心から謝罪しているわけではない。申し訳ないなんて、これっぽっちも思っていない顔だ。


「だから唯斗さんは七緒さんにお返しします」
「……なにを言ってるの?」


想像の遥か上をいく恵麻の発言に耳を疑いたくなる。婚約披露パーティーまで開いておいて、いらなくなったから返すなんて尋常じゃない。


「唯斗くんは物じゃないから」
「でも私、加賀谷先生が好きになっちゃったんです。写真見ました? 加賀谷先生もまんざらでもない感じですよね」


口元に手をあてて、ふふっと笑みを漏らす。
恵麻に強引に腕を掴まれて驚いた顔のどこが、まんざらでもないというのか。恵麻の目は相当な節穴だ。


「……恵麻ちゃん、自分がなにをしているのかわかってる?」
< 245 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop