敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~
「妊娠もしてなかったって」
「そうなんです。私、勘違いしちゃって。お騒がせしてごめんなさい」
謝っている割に笑顔だ。つまり心から謝罪しているわけではない。申し訳ないなんて、これっぽっちも思っていない顔だ。
「だから唯斗さんは七緒さんにお返しします」
「……なにを言ってるの?」
想像の遥か上をいく恵麻の発言に耳を疑いたくなる。婚約披露パーティーまで開いておいて、いらなくなったから返すなんて尋常じゃない。
「唯斗くんは物じゃないから」
「でも私、加賀谷先生が好きになっちゃったんです。写真見ました? 加賀谷先生もまんざらでもない感じですよね」
口元に手をあてて、ふふっと笑みを漏らす。
恵麻に強引に腕を掴まれて驚いた顔のどこが、まんざらでもないというのか。恵麻の目は相当な節穴だ。
「……恵麻ちゃん、自分がなにをしているのかわかってる?」