恋ノ初風
このくらい言っても信じてもらえるかどうか…。
「そういう心ちゃんの方が絶対見てるよね」
「わかるー!案外東雲君の方かも?」
「両片思い?きゃあ最高!!」
「あの…勝手に盛り上がらないでもらえます…?」
「だってー!幼馴染とか恋愛に発展しないわけないじゃない!」
「それなー!しかもふたりとも美男美女。もうカップルって噂立っちゃってるよ!もう認めなよー」
「おい」
低い凛の声がした。その刹那に頭に肘を置かれた。
「俺の親友に有りもしない噂をつけるのはやめてもらおうか」
「ご、ごめんね東雲君。そそそんなつもりじゃないっていうか別にそんなことしてたわけじゃないよ」
と言いながら後退りで去っていったクラスノ女子達。胸元で小さく手を振りながら逃げていく姿は怯えそのもの。私はその姿を、ただぼーっと見ているだけだった。
そしてその日の昼食も凛はいつも通りだった。でも何故か私は凛の言葉が気になっていた。親友…かあ。
「なんだどうした」
「いや…」
親友と、幼馴染ってどう違うんだろう。そこに違いを求めるのはなんでだろう。
「気にすんなよ女子のこと」
「…え…?」
「お前はすぐに気にするタイプだから言っても無駄かもだけどな」
私のこと気にしてくれてたんだ。でも…
「あそこで反感買うのは絶対凛だよ」
「そうかもな」
私が笑ったのに、凛も釣られたようで笑っていた。
「ねえ凛」
「お?」
いや…今言うことじゃないかな。凛がああやって言ってくれたなら、私達は親友でいい。それでもいい。これが続くなら。
凛が女子に忠告してくれたはいいけれど、それで向こうの勢いが収まるわけではなく、稀に凛がいない間に問い詰められるなんてこともあった。それを凛に言ったらまた何か言いに行きそうだから何もいえなかった。
「おい、帰るぞ」
「あ、ちょっと待って」
カバンの中身を一度全部出す。決して凛に対しての嫌がらせとかじゃなくて、私は今大事なものを探している。
「どした?」
「鍵…。忘れてきたのかな」
「鍵?おばちゃんに開けてもらえばいいだろ」
「そうなんだけど。落としたかもしれないってのが怖くて」
鞄の中を見て、スカートのポッケも胸ポケットも見た。でも鍵はない。
「そういえば、心が家から出た時鍵手に持ってなかった」
「え?ほんと?」
いつも家の鍵は玄関に置いていて、家を出るときには必然的に鍵を持っていることになる。
「そういう心ちゃんの方が絶対見てるよね」
「わかるー!案外東雲君の方かも?」
「両片思い?きゃあ最高!!」
「あの…勝手に盛り上がらないでもらえます…?」
「だってー!幼馴染とか恋愛に発展しないわけないじゃない!」
「それなー!しかもふたりとも美男美女。もうカップルって噂立っちゃってるよ!もう認めなよー」
「おい」
低い凛の声がした。その刹那に頭に肘を置かれた。
「俺の親友に有りもしない噂をつけるのはやめてもらおうか」
「ご、ごめんね東雲君。そそそんなつもりじゃないっていうか別にそんなことしてたわけじゃないよ」
と言いながら後退りで去っていったクラスノ女子達。胸元で小さく手を振りながら逃げていく姿は怯えそのもの。私はその姿を、ただぼーっと見ているだけだった。
そしてその日の昼食も凛はいつも通りだった。でも何故か私は凛の言葉が気になっていた。親友…かあ。
「なんだどうした」
「いや…」
親友と、幼馴染ってどう違うんだろう。そこに違いを求めるのはなんでだろう。
「気にすんなよ女子のこと」
「…え…?」
「お前はすぐに気にするタイプだから言っても無駄かもだけどな」
私のこと気にしてくれてたんだ。でも…
「あそこで反感買うのは絶対凛だよ」
「そうかもな」
私が笑ったのに、凛も釣られたようで笑っていた。
「ねえ凛」
「お?」
いや…今言うことじゃないかな。凛がああやって言ってくれたなら、私達は親友でいい。それでもいい。これが続くなら。
凛が女子に忠告してくれたはいいけれど、それで向こうの勢いが収まるわけではなく、稀に凛がいない間に問い詰められるなんてこともあった。それを凛に言ったらまた何か言いに行きそうだから何もいえなかった。
「おい、帰るぞ」
「あ、ちょっと待って」
カバンの中身を一度全部出す。決して凛に対しての嫌がらせとかじゃなくて、私は今大事なものを探している。
「どした?」
「鍵…。忘れてきたのかな」
「鍵?おばちゃんに開けてもらえばいいだろ」
「そうなんだけど。落としたかもしれないってのが怖くて」
鞄の中を見て、スカートのポッケも胸ポケットも見た。でも鍵はない。
「そういえば、心が家から出た時鍵手に持ってなかった」
「え?ほんと?」
いつも家の鍵は玄関に置いていて、家を出るときには必然的に鍵を持っていることになる。