Melts in your mouth
ちょっと待って。色々言ってっけど、何か私偉そうじゃね?
全ての台詞を吐き終わったと同時そう思った。時既にとても遅し。
弁当を作って頂いている立場の人間とは思えぬ上から目線な発言だった気がしてならない。
己の言葉を冷静に反芻して反省会を催していると、視界に映るイケメンが嬉々として目を細める。唇で弧を描き、ほんのり甘い笑みを咲かせた。
「菅田はやっぱり狡い。」
「唐突な悪口はワロタ。」
「そんな事言われたら、益々菅田を独り占めしたくなる。」
「……。」
「困んなよ。」
「いや困るだろ。」
何処かで頭を強打したとしか思えないけど、私に恋愛的な好意を寄せているらしい山田の台詞だからこそ、返事に困るのだ。
それに、山田が私を好いてくれているのだと知っておきながら、山田の弁当を食べたいなんて私利私欲に塗れた願望を口にする私は実際に狡い人間だ。
平野を好きになってしまったのに、山田とこれまで通りの関係性でいたいだなんていう、横暴極まりない感情が胸中でぐるぐると渦を巻く。
嗚呼、私の心は酷く醜い…「でも、さんきゅ。」
無責任な自分に腹が立って眉間に力を込めた矢先、ポンっと頭に乗った熱い温もり。
「元気出た。菅田の言葉が一番嬉しいわ。」
何処までも、つくづく、この男は優しい。ゆるりと口角を持ち上げる山田の表情からは、先程までの暗さがすっかり消えていた。