Melts in your mouth
「それじゃああんたが風俗のスタッフしてた理由って、それだけ?」
「はい。でも心配しないで下さい永琉先輩。俺は確かに童貞ですけど永琉先輩を満足させる為に訓練はしてるので。」
「そんな心配微塵もしてないわ。」
「え、それじゃあ俺が童貞で幻滅してないんですか?」
「当たり前でしょ。寧ろ経験人数四桁いってそうだなと思ってたから逆に感心してるわ。」
「よくそんなクソみたいな後輩だと思い込んでた上で好きになってくれましたね。俺の印象悪過ぎて泣きそう。」
私なりに思い悩んだというのに、いざ蓋を開けてみると何てことのない理由に拍子抜けしてしまう。
まさか私に童貞だと悟られない為に風俗をしていたなんて……。
「先輩の不安はこれで解けましたか?」
「うん。」
「ねぇ、先輩。」
「ん?」
「俺と付き合って下さい。」
絡め合った指が熱い。私を射抜く平野の視線が熱い。相手の愛情が熱い。
どれも鬱陶しい熱さだったはずなのに、こんなにも私の心や脳を溶かす熱に変わったのは一体いつだったのだろう。
「よろしくお願いします。」
「……っっ。」
自然と口許が緩んでいく。完全に私の敗北だ。平野という男にまんまと落ちてしまった。
嬉々とした表情で私を抱き締める相手の背中へ手を回す。「幸せ」耳元で吐かれたその言葉に、こっちまで幸せだと感じる。