Melts in your mouth
気付かなかった。平野が同じ大学だったことも、結芽と平野が繋がっていたことも、全く気付けなかった。
真っ直ぐ過ぎるが余り、最早歪んでしまっている愛情が果てしなく重い。だけど、その重さも愛おしくなってしまう。病院行こうかな、私のこの思考異常な気がする。
「永琉先輩、好きです。昔も今もこれからもずっと愛してます。」
「照れるからあんまり言わないで。」
「え、可愛い。」
「うるさい。」
容赦ない甘い言葉の攻撃を喰らっている私のHPはもうなけなしだ。
にも関わらず、唇に弧を描いて目を細める平野が私の頬を撫でて口付けを落とす。この先、私の心臓は持つのだろうかという懸念すら生まれる。
すっかり平野のペースに流されて困っているというのに、最後の最後に平野は強烈な爆弾を投下させたのだった。
「でも永琉先輩がうちの出版社に就職してくれて助かりました。父親に言ってコネで永琉先輩と同じ部署になれたおかげで、毎日永琉先輩を間近で見れる最高な社会人ライフを送れてます。」
「ん?」
「あ、そうですよね永琉先輩は知らないですよね。俺の父親、うちの出版社の代表取締役社長なんですよ。」
「何馬鹿なこと言ってんの、だって苗字違うじゃん。うちの社長の姓って確か……。」
そこまで言った私は、恐ろしい現実に直面して声を失った。
……うちの社長、向坂だ。