Melts in your mouth

一方の私は、眉間に皺を刻んで頬を引き攣らせていた。

通りがかった人間に「世話焼きお母さんと反抗期の子供」の図に見られても可笑しくはない。私と山田を知っている同級生に目撃されたら、「相変わらずだなお前等」そう野次を飛ばされる自信がある。


高校の時も大学の時もよく同級生から冷やかされていたし、私のマブダチの草間(くさま) 結芽(ゆめ)に至っては所憚らず至って真面目な顔で「二人って交際何年目?」などとほざいていた。


決して山田とそういう関係にあると思われるのが嫌という訳ではない。ただ純粋に、山田にとっては迷惑でしかないだろうなと考えると私の中で申し訳なさが圧勝するのだ。



「いつ気付いてくれんの?」

「……。」

「って、思ってる。」



ほんの僅か。本当にほんの僅かだけれど、私の知っている山田とは違う一面が垣間見えた様な気がした。どんな表情と返答をすれば良いのか全く分からず、ただ山田の黒髪って本当に綺麗だよなーなんてぼんやりと呑気な思考を巡らせた私を現実に引き摺り戻したのは…。



「俺の永琉先輩にナニしてるんですか~?」



“山田さん”



私の顔面のすぐ近くにあった山田の手を容赦なく払って、私達の間を割くかの如く図々しくも整ったイケメンフェイスをテーブルに乗せてにっこりと口角を上げた平野だった。



…。



……。



………。



…………。



何なんこいつ、どっから湧いて出た?


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