『春・夏・秋・冬』
「夏ったらホント調子いいんだから」


春のその一言と一緒に後ろから3人の笑い声が聞こえてくる。


俺は沈んだ気持ちを悟られないよう手だけで返事をした。


…俺の本当の誕生日は、20日なんだ。


そう心の中で呟くと胸の奥がチクンと痛んだ。


でもいくら後ろめたさを感じたって、これは俺が自ら選んだ道だから仕方のない事。


この会社に入って3人と出会ってから、一体何度そう自分に言い聞かせただろう?


普段は騒がしくて突っ走り気味のキャラを演じて、春と秋に仲間以上の感情を持たないようどこかに距離を置いて。


俺にはそれが必要な絶対的理由があるんだ。


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