『春・夏・秋・冬』
そもそもこの会社に入社したのは、重要な任務のため。


ここで働く誰かが、海外の人身売買組織と裏で繋がっているという情報を得た国家機関が俺をここに送り込んだ。


実は俺って、仮の姿で国から派遣されるいわゆる諜報員ってやつで、それは当然会社側も一切知らない。


しかし諜報員って言ってもなりたてのペーペーで、この一年ちょいで俺が得た有効な情報は何一つないけど。


そのせいでこの間あっちの上司から一時間以上ガミガミと怒られ続けて、つい泣きそうになった。


会社の仕事は山ほどあるけど本業をおろそかにしちゃいけないという、妙な板挟み感の俺はどっちをどう頑張ればいいのかすっかりわからなくなってきていた。


しかもあいつらといると楽し過ぎて余計本業がはかどらならい始末。


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