恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
翌朝は自然と導かれるように目が覚めた。
枕もとのスマートフォンを手に取ると、時刻は五時二十五分。
いつも五時半にアラームが鳴るようにしているから、目覚ましが鳴るより前に目が醒めたようだ。
五分後に鳴るアラームを先に止め、上体を起こす。
まだ外は暗く、朝陽は昇ってきていない。
昨晩は、泣いた私が落ち着くと筧さんは「ゆっくり休んで」とだけ言ってこの部屋を出ていった。
その後、脱力したようにベッドに転がって、そのまま眠りについてしまったようだ。
昨晩のことは現実だったのか……。一夜明けてもそれが曖昧で信じがたい。
『離婚前提でも構わない。偽装の妻になってもらえないか』
筧さんはたしかにそんな話を持ち掛けてきた。
だけど、どうして私に?
その思いと共に未だ信じられない気持ちがある。
昨日の一件で追い詰められた自分が、都合のいい夢みたいな妄想を作り上げたのではないかとまで疑ってさえいる。