恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「よく眠れたか」
「あっ、はい。大丈夫です」
「そうか」
筧さんはダイニングテーブルにつき、持ってきたタブレット端末を眺めはじめる。
その様子を目に、すぐにコーヒーメーカーで朝の一杯を淹れはじめた。
筧さんは毎朝、食事の前にタブレット端末で新聞を読む。それから朝食をとるのだ。
コーヒーのカップを手に、ダイニングテーブルに向かう。
「すみません、もう少しでできますので」
コーヒーを出した流れでテーブルセッティングも行う。
タブレットを眺めていた筧さんが、支度を終えキッチンに戻る私に視線を向けた。
「どうしてひとり分なんだ?」
「え……」
「もうすぐ結婚するんだから、一緒に食事をするのが普通だろう」
そう言われて、やはり昨日の話は現実のものだと実感する。
偽装、という関係でも、妻、ということだから……?
「すみません。まだ、よくわかっていなくて……今朝は、そのつもりで用意をしなかったので、次回からは」
私を見つめる筧さんにぺこりと頭を下げ、もう一度「すみません」と言ってキッチンに引っ込む。
どう反応したらいいのか戸惑いながら、朝食を出す準備を再開させた 。