恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
頬を撫でる感触に、ゆっくりと瞼を持ち上げる。
「里穂子……?」
名前を呼ばれ、そこでばちっと勢いよく目を開いた。
「やだ、私……」
眠ってしまっていた?
さっきまで高速を走っていたはずの車は、どこかわからないけれど木々に囲まれた駐車場らしき場所に停車している。
やっぱり眠ってしまっていたのだと自覚して、彰人さんに体を向けた。
「ごめんなさい、私、いつの間にか寝て……」
「昨日もあの調子じゃあ、眠りが浅かったんだろう。睡眠は大事だ。眠れるときに寝たらいい。それに──」
付け加えるように「自然に眠れるくらい、乗り心地がよかったってことだな」なんて言い、ふっと笑って見せた。
「それは、間違いないと思います。こんな吸い込まれるような座り心地の車のシート、この世に存在するんだって、はじめて乗せてもらったときから思ってました」
「それは大袈裟じゃないか?」
彰人さんはクスッと笑う。その笑顔が素敵で胸がきゅんとする。
数時間前、会社で目のあたりにした厳しい横顔を見せていた人と同一人物なのかと疑うほど、今は穏やかな表情だ。