恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


 そんな私が、なんでもない時期に突然帰ってくると言い出したのだ。なにかあったと思うのが普通のこと。

『会ってほしい人がいる』

 両親にもそのつもりでいてもらうため、事前にそう予告をした。

 はるばる帰省してきて、会ってほしい人がいると言われた電話口の母は、「そういうことなの?」と、どこか信じられなさそうに確認をとってきた。

 私が両親に会ってほしい人がいるなんて言うのはこれまでではじめて。一度もお付き合いした人に会ってほしいなんて言ったことはない。

 と言っても、お付き合いしたと言える人は何人もいるわけでなく、ひとりしかいないのだけど……。

 窓の外を眺めている私の手に、彰人さんの指先が触れる。

 掴まれて指が絡まり彰人さんの顔に目を向けると、私とつないだ手先に視線を落としていた。


「いよいよだと思うと、緊張するな」


 意外な言葉に目を見張る。

 彰人さんのような人でも、緊張という感情があるのか。

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