恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「どうも、遠いところをわざわざ!」
父のほうもやはり緊張しているようで、作った笑顔がぎこちない。
「初めまして。筧と申します。このたびは急なお願いにも関わらず訪問を許していただき、ありがとうございます」
物怖じすることなく、堂々と。そして、完璧な初対面の挨拶を口にした彰人さん。
両親のほうがよっぽどなっていない状況で、恥ずかしくなってしまう。でも、両親の気持ちは痛いほどよくわかる。
私が親で、娘がまったくつり合いの取れていない男性を家に連れて帰ってきたら、どうリアクションを取ったらいいのかわからないだろう。
「これは、ご丁寧に! 里穂子の父です。こちらが妻です」
深々と頭を下げ、「お上がりください」と、すでに用意してあったスリッパを父親がすすめる。
「失礼いたします」
彰人さんは靴を脱ぎ揃え、スリッパに履き替えた。
自分の生まれ育った家に、彰人さんがいることが未だに信じられない光景で、玄関に上がりながら彰人さんをぼんやりと見上げる。私の視線に気づいて目を合わせた彰人さんは、優しい微笑を見せた。