恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
ヘアメイクアップアーティストのふたりを見送り、支度が終わったことを知らせに彰人さんの書斎へと向かう。
ヘアメイクが始まってから書斎にこもっていた彰人さんは、仕上がった私をまだ見ていない。
少し緊張しながらドアをノックし「彰人さん、終わりました」と声をかけた。
ドッドッと、やっぱり鼓動が高まる。
すぐに向こうからドアが開き、対面した彰人さんが私をじっと見つめて微笑んだ。
「どう、ですかね……?」
「想像通り、思っていた通りだ。いや、それ以上かもしれない」
手を取られ、優しく引き寄せられる。
「よく見せて」
頬に手を添え、近距離から見つめられたらどこを見たらいいのかわからない。
泳がせた視線を捉えられ、不意に見つめ合ってしまった。
「里穂子」
囁くように名前を口にした彰人さんの唇が、触れるほど接近する。あっと思ったときには柔らかい感触に唇が包まれていた。
触れてはわずかに離れ、角度を変えて再び触れ合う。
顔が熱くなってきて困りはじめたとき、彰人さんは少し浮かせた唇から「悪い」と呟いた。
「これ以上したら、せっかくのメイクが崩れるな」
「あ……」
たしかに、輪郭を取って綺麗に塗ってもらったリップがよれてしまうかもしれない。
「この続きは、帰ってきてからじっくりな」
私の赤面に拍車をかけるそんな言葉を耳打ちし、彰人さんは「着替えてくる」と書斎を出ていった。