恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


 雪島さんの送りで彰人さんと共にマンションに帰宅したのは、間もなく十六時半を迎える頃だった。


「彰人さん、なにか飲みますか? お茶でも淹れようかと」


 帰宅してすぐ、キッチンに立つ。


「ありがとう。なんでもいいよ、里穂子と同じで」

「わかりました。紅茶でもいいですか?」

「ああ、かまわない」


 お湯を沸かし、紅茶の用意を始める。茶葉の缶からティーポットに葉を入れ、沸いたお湯を注いだ。

 すぐにアールグレイのいい香りが立ち上る。

 あまりに苦みが出ないように少し蒸らして二分後、用意しておいたティーセットに紅茶を注いだ。


「お待たせしました」


 リビングのソファーにかけている彰人さんのもとへ紅茶を運ぶ。


「ありがとう」


 そう言った彰人さんは「おいで」と私に向かって手を伸ばした。


「あ、はい」


 慌てて紅茶をローテーブルに置き、差し出された手に自分の手を乗せる。

 彰人さんは掴んだ私の手を優しく引き、自分の座るとなりに座らせた。

 早速紅茶のカップを手に取り口にした彰人さんは、「うん、おいしい」と褒めてくれる。

 私もソーサーごと手に取り、「いただきます」と淹れたての紅茶を味わった。

 温かい紅茶を口にすると、なんだかホッと心が落ち着く。

 濃厚な今日一日に緊張しっぱなしだったのだと、心が解放された気分だった。

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