恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
クスクスと笑う姿を目にして、こんなふうに笑ったりもするのかと少し驚いた。
どこか素を垣間見たような、そんな気分だ。
「じゃあ、引き受けてもらえるな?」
一時間ほど前、真剣に転職について考えていた。
そんな矢先に降って湧いた好条件のこの仕事。
家政婦という仕事に就いた経験はない。だけど、悪い話ではないし、やってみる価値はある。
でも、昨日出会ったばかりの私なんかを雇おうなんて、本気なのだろうか……?
「あの、でも、こんな成り行きで私を採用していいんですか?」
私のほうが心配になってきてしまい、確認を取るように訊いてしまう。
筧さんは「それは?」と、私の質問の意味を探る。
「ですから、今ここで私を家政婦として雇ってしまって、後悔しないのかな、と……」
「後悔?」
「例えば、私がとんでもない盗っ人で、雇ってみたものの、金目のものを取って行方不明とか。あとは、筧地所グループの情報をリークしようとしているスパイかもしれないとか。あとは……」
あれこれ例え話を挙げていると、また筧さんはクスクスと笑いはじめる。
そんな笑えるようなことを言ったつもりはなかったので、言葉を止めてじっと彼の表情を見つめた。