恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「え、あ、あの」
「食べられないものは特にない。強いて言えば、生のトマトは好きじゃないな」
「生の、トマト。はい、わかりました」
「じゃ、あとはよろしく」
筧さんはそう言って玄関のドアを出ていった。
扉が閉まり、しばらく玄関扉を見つめたままぼうっと佇む。
行っちゃった……。
ひとりになって、改めて自分の置かれた状況にハッと我に返る。
ハイグレードマンションという場所自体が私にとってみれば非現実的な空間で、なんとなく周囲をぐるりと見回した。
「夢では、ない……」
住んでいた部屋を出て、転職も考えている中、突然の再就職先候補が浮上。
今の私にとったらありがたい話だ。請け負ったからには、精いっぱい真面目に務めたい。
「とりあえず……買い出し行こう」
確認を取るように口に出して言い、いそいそとキッチンへ向かった。