恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
普通の食事でいいと言われてのこのメニューだけれど、本当にこれでよかったのかと今更心配が募りだす。
少しオシャレな洋風で攻めてもよかったのかもしれない。
肉じゃがメインの王道和食は、庶民的な食事で構わないという言葉を真に受けすぎてしまったような……。
玄関のほうでドアが閉まるような音が聞こえ、そそくさとキッチンを出ていく。
予定通りの時刻に帰宅をした筧さんは、奥から出てきた私の姿に「ただいま」と先に口を開いた。
「お帰りなさいませ」
「なんだ、その堅苦しい出迎えは」
「え、そうですか? すみません」
家政婦は家政婦らしく、と思ってだったけど、どうやら間違ったらしい。
うっかり語尾に〝ご主人様〟をつけなくてよかったと密かに思う。
「家政婦といっても、普通に接してもらおうか。妙な丁寧語は好まない」
「わかりました」
リビングに入っていく背中についていきながら、「あの」と声をかける。
「特に、指示をいただかなかったので、私の可能な範囲で各部屋の掃除と、夕食の準備をさせていただきました」