恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


「そうだったんですか? 私、詳しくは知らなくて…… 」

「ちょっと里穂子ちゃん! そんな人のところで家政婦なんて、ドキドキじゃない!」


 若菜さんはにやりとして急にそんなことを言う。


「え、え?」

「もし、見初められちゃったりとかしてさ、人生大逆転とか有り得る話じゃない?」


 若菜さんがとんでもないことを言い出して、両手でつまむサンドイッチについ力が入ってしまう。生クリームとフルーツがぶにっと飛び出しかけた。


「なに言ってるんですか! そんなこと一切有り得ない話ですよ!」

「えー、そうかな? 里穂子ちゃんいい子だし、かわいいし、普通に有り得る話だと思うよ」

「ないです! もう生きている次元が違う方なので、そういう対象とかにはまったく」


 もうなにを言っているのかわからなくなっているけれど、とにかく若菜さんのにやにや顔が落ち着くように弁解する。

 若菜さんはふふっと笑ってサンドイッチに口をつけた。


「まぁ、とりあえず、里穂子ちゃんがいい方向に前進しはじめているなら私は応援するし、いつでも相談に乗るから。ここを退職しても、それは変わらないからね」

「若菜さん……ありがとうございます」


 優しい気持ちに涙腺がつい緩む。

 涙が流れないように、残りのサンドイッチに集中した。

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