恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました
「どう、して……?」
なぜこんなところに湯島くんがいるのだろうか。その疑問で思考が停止しかける。
エントランスの自動ドアを前に立ち止まった私と、目の前まできた湯島くんが向かい合う形になった。
「この間、聞こえちゃったんだよ。仕事辞めて、お前がどうするか」
「えっ……」
その話は公にはしていない。口にしたのは、若菜さんに話したあのときだけだ。
だとすると、あのとき近くにいて聞いていた……?
「金持ちの男引っかけて、転がり込んだってわけか。意外とやるじゃん」
とんでもない言い方をされ、思わず「そんなんじゃ──」と反論の声が出る。
湯島くんはフンと鼻で笑ってエントランスの奥を覗くような仕草を見せた。
「大人しそうな顔して、お前も怖い女だな。別れてよかったわ」
別れてよかった──そう思うなら、わざわざこんなところまでなぜ付けてきたのだろう。
こうまでして文句をつけたいほど、私が憎いということなの……?
「家政婦とかってここに住んで世話して、ベッドのほうでも奉仕してるのか? やばすぎだろ」
聞くに耐えず、逃げるようにしてエントランスに飛び込む。
背後で「おい!」と呼び止めるような声が聞こえたけれど、無我夢中でマンションの中へ飛び込んだ。
そのまま逃げるようにして三十七階へと向かう。