Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
「俺は兄さんにはなれないし、きっと朝夏さんをあんな風にさせられるのは兄さんだけなんだ。やり場のない感情を抱えて学校に行って六花に会って……六花はちゃんと俺を見てくれていたのに、俺は"朝夏さん越し"に六花を見ていたことに気付いたんだ」
だからあの日、私は"阿坂六花"として初めて宗吾の視界に入ったのね。
「でも……お父様も言っていたけど、宗吾は周りに気を遣いすぎるって。だから私に辛く当たっていた方が、きっと本当の宗吾なのかなって勝手に思ってた」
「確かにそうかもしれない。六花の前で暴言吐いてる時が一番楽だったからな。他では大体猫被ってたし」
「うわっ、最低」
私だけに見せていた本当の宗吾。自分だけが特別だと思えたことで、こんなにも嬉しくなれる。
「あの日から六花のことが気になり出したのに、本当の俺はそういう表現に疎くて、しかも今更告白なんて柄じゃないから出来なくてさ。仕方ないから、卒業後も六花の友だちから近況を教えてもらってたんだ。いつの間にか彼氏が出来て同棲まで始めたって聞いて、もうダメだと思っていた頃に六花が別れて家を出たって報告が入ったんだ」
私の友達からの情報? 考えなくても、たった一人しか思いつかない。
「やっぱり知世と繋がってたんだ」
「栗原が拓馬と付き合ってたのは知ってるだろ? 俺は拓馬を通して聞いていただけだけど」
知世と相原拓馬は同じサークルの仲間で、二人が付き合い始めたのは卒業してだいぶ経ってからだった。
二人は六花に対しては宗吾の話をしないから、連絡を取り合っているなんて思いもしなかったが、そう考えれば全て納得がいく。
「だからあのクリスマスの日、仕事で参加していたパーティー会場を飛び出して、六花のマンションの最寄駅に車を飛ばしてさ、偶然を装って再会したんだ」
「……つまり計画的な再会だったわけね」
「それしかチャンスはなかったからね。六花が別れる日が来た時のためにいろいろ作戦を練っていたよ」
「何それ……別れるかはわからないじゃない」
「でも栗原から諦めなければチャンスはあるって言われてたし」
確かに知世には元カレのことをいろいろ相談していたから、きっと別れると思われていたのだろう。
「だからクリスマスのあの日、久しぶりに六花とちゃんと話をして、契約結婚まで漕ぎ着けた時はどれだけ俺が興奮していたかなんて六花は知らないよな」
「そんなの……口に出してくれなきゃわかるわけないじゃない」
宗吾がそこまで私を想ってくれていたなんて知らなかった。だけど嬉しい気持ちよりも、何も知らなかった悔しさが胸に募っていく。
六花は苛立ちを抑えるように立ち上がるとキッチンに向かい、何かを探すフリをしながら宗吾に背を向けた。
だからあの日、私は"阿坂六花"として初めて宗吾の視界に入ったのね。
「でも……お父様も言っていたけど、宗吾は周りに気を遣いすぎるって。だから私に辛く当たっていた方が、きっと本当の宗吾なのかなって勝手に思ってた」
「確かにそうかもしれない。六花の前で暴言吐いてる時が一番楽だったからな。他では大体猫被ってたし」
「うわっ、最低」
私だけに見せていた本当の宗吾。自分だけが特別だと思えたことで、こんなにも嬉しくなれる。
「あの日から六花のことが気になり出したのに、本当の俺はそういう表現に疎くて、しかも今更告白なんて柄じゃないから出来なくてさ。仕方ないから、卒業後も六花の友だちから近況を教えてもらってたんだ。いつの間にか彼氏が出来て同棲まで始めたって聞いて、もうダメだと思っていた頃に六花が別れて家を出たって報告が入ったんだ」
私の友達からの情報? 考えなくても、たった一人しか思いつかない。
「やっぱり知世と繋がってたんだ」
「栗原が拓馬と付き合ってたのは知ってるだろ? 俺は拓馬を通して聞いていただけだけど」
知世と相原拓馬は同じサークルの仲間で、二人が付き合い始めたのは卒業してだいぶ経ってからだった。
二人は六花に対しては宗吾の話をしないから、連絡を取り合っているなんて思いもしなかったが、そう考えれば全て納得がいく。
「だからあのクリスマスの日、仕事で参加していたパーティー会場を飛び出して、六花のマンションの最寄駅に車を飛ばしてさ、偶然を装って再会したんだ」
「……つまり計画的な再会だったわけね」
「それしかチャンスはなかったからね。六花が別れる日が来た時のためにいろいろ作戦を練っていたよ」
「何それ……別れるかはわからないじゃない」
「でも栗原から諦めなければチャンスはあるって言われてたし」
確かに知世には元カレのことをいろいろ相談していたから、きっと別れると思われていたのだろう。
「だからクリスマスのあの日、久しぶりに六花とちゃんと話をして、契約結婚まで漕ぎ着けた時はどれだけ俺が興奮していたかなんて六花は知らないよな」
「そんなの……口に出してくれなきゃわかるわけないじゃない」
宗吾がそこまで私を想ってくれていたなんて知らなかった。だけど嬉しい気持ちよりも、何も知らなかった悔しさが胸に募っていく。
六花は苛立ちを抑えるように立ち上がるとキッチンに向かい、何かを探すフリをしながら宗吾に背を向けた。