Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
* * * *
どこに行くのだろうか……車の助手席に座ってからも気持ちは落ち着かず、膝の上に置いた手を何度も握り返した。
「あの……そろそろ行先を知りたいんだけど」
「それはまだ言えない。でももうすぐ着くから」
そう言われて窓の外を見ると、車はたくさんのビルが立ち並ぶエリアの中にいた。そしてその中の一つである貴島不動産ビルディングの地下駐車場に車は入っていく。
貴島不動産? 確か宗吾の名字も貴島だった気がーーそこでようやくハッとする。そして宗吾の方を見て口をパクパクさせた。
「宗吾ってまさか……」
「そう。会社の社長は親父、会長はじーさん。兄貴は自分で起業したから、一応俺が跡継ぎの予定」
宗吾は軽く言ったが、六花にとっては衝撃の事実で、思わず動揺してしまう。大学生にもなれば親のことが会話に出たとしても、職業までは触れない。宗吾が親のことについて何も語らなかったとしても、何ら不思議はなかった。ただ今になればその理由がわかるような気がする。
確かに社長の息子と言われれば、近寄る人間もいるが離れる人間もいるはずだ。色眼鏡なしで宗吾自身を見てくれる人を見極めるのは大変だろう。
こう見えて宗吾は、自分と真っ直ぐ向き合ってくれる人しか寄せ付けないようなオーラが出ていた。だから狭く深く付き合い、特にサークルのメンバーには心を許していたように思うーー私だけは別だけど。
「ちょっと! 何も聞かされずにいきなり親に会うなんてあり得なくない⁈」
駐車場に車を停め、降りようとした六花の手を宗吾が掴み、反対の手で彼女の頭を引き寄せると突然キスをした。
「それくらい焦っているんだよ」
「えっ……?」
「大丈夫。俺は大切な彼女を親に紹介するだけで、六花は親父の話を聞いてくれればいいから」
宗吾の真剣な眼差しに何も言えなくなり、六花は唇を噛む。
「私なんかが彼女なんて言ったら、ご両親に反対されるんじゃない?」
「誰にも反対なんてさせるわけない。それはみんなわかってるはずだし、俺はお前がいてくれればそれだけでいいんだ」
拒みたいのに拒めないーーゆっくりじっくり味わうようなキスに酔いそうになりながら、六花は彼の背中に腕を回す。
いきなりこんなのってずるい。静かな車内に響くのは二人の唇が触れ合う音と、時々漏れる甘い息遣いだけだった。
どこに行くのだろうか……車の助手席に座ってからも気持ちは落ち着かず、膝の上に置いた手を何度も握り返した。
「あの……そろそろ行先を知りたいんだけど」
「それはまだ言えない。でももうすぐ着くから」
そう言われて窓の外を見ると、車はたくさんのビルが立ち並ぶエリアの中にいた。そしてその中の一つである貴島不動産ビルディングの地下駐車場に車は入っていく。
貴島不動産? 確か宗吾の名字も貴島だった気がーーそこでようやくハッとする。そして宗吾の方を見て口をパクパクさせた。
「宗吾ってまさか……」
「そう。会社の社長は親父、会長はじーさん。兄貴は自分で起業したから、一応俺が跡継ぎの予定」
宗吾は軽く言ったが、六花にとっては衝撃の事実で、思わず動揺してしまう。大学生にもなれば親のことが会話に出たとしても、職業までは触れない。宗吾が親のことについて何も語らなかったとしても、何ら不思議はなかった。ただ今になればその理由がわかるような気がする。
確かに社長の息子と言われれば、近寄る人間もいるが離れる人間もいるはずだ。色眼鏡なしで宗吾自身を見てくれる人を見極めるのは大変だろう。
こう見えて宗吾は、自分と真っ直ぐ向き合ってくれる人しか寄せ付けないようなオーラが出ていた。だから狭く深く付き合い、特にサークルのメンバーには心を許していたように思うーー私だけは別だけど。
「ちょっと! 何も聞かされずにいきなり親に会うなんてあり得なくない⁈」
駐車場に車を停め、降りようとした六花の手を宗吾が掴み、反対の手で彼女の頭を引き寄せると突然キスをした。
「それくらい焦っているんだよ」
「えっ……?」
「大丈夫。俺は大切な彼女を親に紹介するだけで、六花は親父の話を聞いてくれればいいから」
宗吾の真剣な眼差しに何も言えなくなり、六花は唇を噛む。
「私なんかが彼女なんて言ったら、ご両親に反対されるんじゃない?」
「誰にも反対なんてさせるわけない。それはみんなわかってるはずだし、俺はお前がいてくれればそれだけでいいんだ」
拒みたいのに拒めないーーゆっくりじっくり味わうようなキスに酔いそうになりながら、六花は彼の背中に腕を回す。
いきなりこんなのってずるい。静かな車内に響くのは二人の唇が触れ合う音と、時々漏れる甘い息遣いだけだった。