Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
* * * *
二人を乗せたエレベーターはビルの最上階へと昇っていく。六花は黙ったまま大きなため息をついたが、その間も宗吾はずっと握った手を離さなかった。
いきなり宗吾の親に会うなんて……。心の準備が出来ていないし、何を話せばいいのかわからない。
最上階に到着してエレベーターから降りると、目の前には大きな扉があり、その手前には秘書と思われる女性が机に向かって座っていた。顔を上げて宗吾の姿を確認すると、立ち上がって頭を下げる。
「社長はこの後に打ち合わせがありますので、二十分ほどでお願いいたします」
「わかってる」
女性が六花にも頭を下げたので、宗吾に手を引かれながらも同じように頭を下げた。六花の緊張感は限界まで達していて、今にも息が止まりそうだった。
ノックをし、中からの返事を待って扉を開ける。そして二人で中に入ると、明るい日差しが差し込む部屋の窓際で、長身で黒髪、顔立ちがどこか宗吾に似ている男性がこちらを見て微笑んでいた。
「突然だったのに時間をとってくれてありがとう」
「タイミングが良かったんだよ。ただあまり時間がないんだ。悪いね」
宗吾は頷くと六花の肩を抱く。
「こちらが前に話した阿坂六花さん」
「あ、阿坂六花です。よろしくお願いいたします」
突然紹介され、慌てて頭を下げる。ただ頭の中では『前に話した』という言葉が引っかかっていた。宗吾とお父様の間で私が話題に上がったことがあるのだろうか。
その想いが表情に表れていたのか、宗吾と社長は六花の顔を見て同じように吹き出した。
「とりあえず二人ともこちらにかけて」
テーブルを挟み、対面のソファに誘導される。緊張でガチガチの六花を先に座らせてから、宗吾は隣に腰を下ろした。
社長はニコニコしながら六花を見つめ、向かい側のソファに腰を下ろした。そのタイミングで扉がノックされ、先ほどの秘書の女性がお盆にお茶を載せて入ってくる。
「いきなり会わせたい人がいるから時間をとって欲しいなんて連絡がきたからびっくりしたよ。こちらの方が、宗吾が話していた例の"守りたい人"なのかな?」
六花は驚いて宗吾の方を向いた。すると宗吾は穏やかな笑みを浮かべて六花の手を取る。
「そうだよ。今はまだ正式にプロポーズしたばかりで返事を待っているところだけどね」
恥ずかしげもなくそう話すので、社長は照れたように六花を見つめた。その視線を感じて、六花も恥ずかしくて俯いてしまう。
「君はすごいね。君に関わる話をすると、宗吾は途端に表情が変わるんだ。家族の誰もこんな宗吾を見たことがなかったよ。それにしても……ようやく再会出来たのか。良かったな」
「まぁね」
ようやく再会? 宗吾はどこまで私たちのことを話しているのだろうか。大学時代か、それとも一緒に暮らしたあの一ヵ月のこと?
「さて……私が宗吾の父だということは聞いているかな?」
「あっ、はい、先ほど伺いました」
「そうか」
社長は背もたれに寄りかかると、何かを思い出すかのように遠く見つめ、優しく微笑んだ。
二人を乗せたエレベーターはビルの最上階へと昇っていく。六花は黙ったまま大きなため息をついたが、その間も宗吾はずっと握った手を離さなかった。
いきなり宗吾の親に会うなんて……。心の準備が出来ていないし、何を話せばいいのかわからない。
最上階に到着してエレベーターから降りると、目の前には大きな扉があり、その手前には秘書と思われる女性が机に向かって座っていた。顔を上げて宗吾の姿を確認すると、立ち上がって頭を下げる。
「社長はこの後に打ち合わせがありますので、二十分ほどでお願いいたします」
「わかってる」
女性が六花にも頭を下げたので、宗吾に手を引かれながらも同じように頭を下げた。六花の緊張感は限界まで達していて、今にも息が止まりそうだった。
ノックをし、中からの返事を待って扉を開ける。そして二人で中に入ると、明るい日差しが差し込む部屋の窓際で、長身で黒髪、顔立ちがどこか宗吾に似ている男性がこちらを見て微笑んでいた。
「突然だったのに時間をとってくれてありがとう」
「タイミングが良かったんだよ。ただあまり時間がないんだ。悪いね」
宗吾は頷くと六花の肩を抱く。
「こちらが前に話した阿坂六花さん」
「あ、阿坂六花です。よろしくお願いいたします」
突然紹介され、慌てて頭を下げる。ただ頭の中では『前に話した』という言葉が引っかかっていた。宗吾とお父様の間で私が話題に上がったことがあるのだろうか。
その想いが表情に表れていたのか、宗吾と社長は六花の顔を見て同じように吹き出した。
「とりあえず二人ともこちらにかけて」
テーブルを挟み、対面のソファに誘導される。緊張でガチガチの六花を先に座らせてから、宗吾は隣に腰を下ろした。
社長はニコニコしながら六花を見つめ、向かい側のソファに腰を下ろした。そのタイミングで扉がノックされ、先ほどの秘書の女性がお盆にお茶を載せて入ってくる。
「いきなり会わせたい人がいるから時間をとって欲しいなんて連絡がきたからびっくりしたよ。こちらの方が、宗吾が話していた例の"守りたい人"なのかな?」
六花は驚いて宗吾の方を向いた。すると宗吾は穏やかな笑みを浮かべて六花の手を取る。
「そうだよ。今はまだ正式にプロポーズしたばかりで返事を待っているところだけどね」
恥ずかしげもなくそう話すので、社長は照れたように六花を見つめた。その視線を感じて、六花も恥ずかしくて俯いてしまう。
「君はすごいね。君に関わる話をすると、宗吾は途端に表情が変わるんだ。家族の誰もこんな宗吾を見たことがなかったよ。それにしても……ようやく再会出来たのか。良かったな」
「まぁね」
ようやく再会? 宗吾はどこまで私たちのことを話しているのだろうか。大学時代か、それとも一緒に暮らしたあの一ヵ月のこと?
「さて……私が宗吾の父だということは聞いているかな?」
「あっ、はい、先ほど伺いました」
「そうか」
社長は背もたれに寄りかかると、何かを思い出すかのように遠く見つめ、優しく微笑んだ。