Lost at sea〜不器用御曹司の密かな蜜愛〜
「宗吾には兄がいるんだが、この兄は幼い頃からずっと医者になりたいと言って、家を継ぐ気が全くなかったんだ。それで自然と宗吾が次期社長にという空気になり、つい申し込まれる縁談を受けては喧嘩ばかりだったよ」
突然会話が始まり、とりあえず頷きながら話に耳を傾ける。
「いきなり何を話しているだって思ったかな?」
そう言うと社長は六花にウインクをしてみせる。宗吾からは想像もつかない姿に、目を見開いてしまう。
「父さん!」
「あぁ、すまんすまん。だがちゃんと説明しないと伝わるものも伝わらないぞ。そこがお前の悪いところなんだ」
六花は思わず頷いて宗吾をチラッと見たが、彼はバツが悪そうに黙ってお茶を飲んでいた。
「ただある時にね、仕事に集中したいからお見合いは全て断って欲しい言われたんだ。しかもその理由が"愛する人たちを守るため"だって言うじゃないか。まさかそういう人が宗吾にいると思わなかったから、私たちは驚いたし、正直戸惑ったよ」
そう言うと、社長は宗吾を見ながらニッコリと微笑む。宗吾は社長を睨みつけたが、六花の視線を感じて慌てて顔を背ける。
「そ、そんな話を家族に漏らすわけないじゃないか! というか、今日は余計な話はいいからーー」
「そうそう。お前は昔からそうなんだよ。自分のことは話さそうとしないからね。だから最初は"愛する人"なんて嘘だと思ったくらいさ。でも……その後いろいろな事実を知らされて、ようやく本気なんだとわかったよ」
お見合いを断るために契約結婚の話をしたのだから、きっと一緒に暮らした後の話に違いない。それならばお父様の言う愛する人というのは、本当に私のことなのだろうか。
もしそうならば、"守る"とはどういうことだろう。あれ以降、宗吾とは会っていないし、お互いの状況を知らないのにどう守るというのか謎だった。
すると社長は六花の方に向き直り、微笑みかける。
「宗吾はどこか空気を読んでしまうところがあってね。感情表現が不器用で面倒臭いんだよ。今日だって私に背中を押してくれってわざわざ会いに来たくらいだし」
「父さん!」
「はいはい、わかったよ。余計なことは言うなっていうんだろう?」
このぶっきらぼうな話し方、なんだか出会った頃の宗吾を思い出すーー六花はついクスッと笑った。
きっと家族に見せるこの姿こそが、宗吾の本当の姿なのだろう。そう思うと、昔から私の前では素の宗吾を見せていてくれたのかもしれないと思うと、何故かすごく嬉しくなった。
「六花さんには相当迷惑をかけたんじゃないかな。いろいろわかりにくくて大変だろうと思うよ」
「いえ、そんなことはないです! ちょっと遠回し過ぎるところもありますが……それも彼らしさだと思うので」
そんな宗吾だったからこそ、二人の関係は始まった。確かにわかりにくいけど、それが親しい人に見せる姿だと知れば、彼が可愛いくて愛おしい存在になる。
突然会話が始まり、とりあえず頷きながら話に耳を傾ける。
「いきなり何を話しているだって思ったかな?」
そう言うと社長は六花にウインクをしてみせる。宗吾からは想像もつかない姿に、目を見開いてしまう。
「父さん!」
「あぁ、すまんすまん。だがちゃんと説明しないと伝わるものも伝わらないぞ。そこがお前の悪いところなんだ」
六花は思わず頷いて宗吾をチラッと見たが、彼はバツが悪そうに黙ってお茶を飲んでいた。
「ただある時にね、仕事に集中したいからお見合いは全て断って欲しい言われたんだ。しかもその理由が"愛する人たちを守るため"だって言うじゃないか。まさかそういう人が宗吾にいると思わなかったから、私たちは驚いたし、正直戸惑ったよ」
そう言うと、社長は宗吾を見ながらニッコリと微笑む。宗吾は社長を睨みつけたが、六花の視線を感じて慌てて顔を背ける。
「そ、そんな話を家族に漏らすわけないじゃないか! というか、今日は余計な話はいいからーー」
「そうそう。お前は昔からそうなんだよ。自分のことは話さそうとしないからね。だから最初は"愛する人"なんて嘘だと思ったくらいさ。でも……その後いろいろな事実を知らされて、ようやく本気なんだとわかったよ」
お見合いを断るために契約結婚の話をしたのだから、きっと一緒に暮らした後の話に違いない。それならばお父様の言う愛する人というのは、本当に私のことなのだろうか。
もしそうならば、"守る"とはどういうことだろう。あれ以降、宗吾とは会っていないし、お互いの状況を知らないのにどう守るというのか謎だった。
すると社長は六花の方に向き直り、微笑みかける。
「宗吾はどこか空気を読んでしまうところがあってね。感情表現が不器用で面倒臭いんだよ。今日だって私に背中を押してくれってわざわざ会いに来たくらいだし」
「父さん!」
「はいはい、わかったよ。余計なことは言うなっていうんだろう?」
このぶっきらぼうな話し方、なんだか出会った頃の宗吾を思い出すーー六花はついクスッと笑った。
きっと家族に見せるこの姿こそが、宗吾の本当の姿なのだろう。そう思うと、昔から私の前では素の宗吾を見せていてくれたのかもしれないと思うと、何故かすごく嬉しくなった。
「六花さんには相当迷惑をかけたんじゃないかな。いろいろわかりにくくて大変だろうと思うよ」
「いえ、そんなことはないです! ちょっと遠回し過ぎるところもありますが……それも彼らしさだと思うので」
そんな宗吾だったからこそ、二人の関係は始まった。確かにわかりにくいけど、それが親しい人に見せる姿だと知れば、彼が可愛いくて愛おしい存在になる。