夜を照らす月影のように#7
心の痛みを誤魔化すように、僕はノワールに声をかける。地面に座り込んだノワールに、手を差し出した。

その手をノワールは振り払うと、僕に背を向けて走り出す。僕がノワールを追いかけようとすると、リオンが僕の腕を掴んだ。

「……メル。何か、俺らに隠し事をしてるよね?」

真剣な表情で、リオンは僕を見つめる。リオンの問いに、僕は答えられないでいた。何か言わないといけないのに、僕の口からは「えっと……」としか出てこない。

「ゆっくりでいい。俺らに、教えて欲しい。どんなことでも、俺らは受け止めるから」

リオンの優しい声に、僕は少し落ち着く。少しだけ冷静になった頭で、僕は考えた。

確かに、リオンたちなら……僕とノワールの秘密を……過去を、受け止めてくれるかもしれない。受け止めてくれるって信じてる……だけど。僕とノワールの過去はリオンたちが思っている以上に暗いものだ。そんな暗い過去を、リオンたちに打ち明けていいのだろうか。

リオンたちは全員真剣な目で僕を見つめていて、僕は覚悟を決める。

「はぁ、分かったよ……あまり良い話じゃないし……というか、かなり暗い話になってもいいのなら、教えてあげる」

僕がそう言うと、皆は「構わない」と答えた。
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