夜を照らす月影のように#7
「オズワルドさん。一体、ノワールに何をしたんですか?」

「俺は、絶望をした顔を見るのが大好きなんだ。お前とノワール……いや、太宰修也(だざいしゅうや)と言ったか?の過去を、魔法で見た。それを使ってな!」

日本語で言ったオズワルドさんの言葉に、僕の心が冷えていく感覚がした……気がした。

「……あぁ、なるほど。君には、人の心がないんだな……僕の大切な人を傷つけるような奴は、嫌いだ」

自分でも分かるほど、冷たい声が出る。

「メル……」

「あはは!人の心がない……か!君は、面白いことを言うな」

魔法を解いたのか、この世界で使われている言語で笑い出した。

「さて、俺はこの状況を楽しむことにしよう。じゃあな」

そう言って、オズワルドさんは魔法を使って消えていく。オズワルドさんが消えたことで、周りは一気に静かになる。

「……」

重い空気が流れる中、僕はノワールに近づいた。

「……ノワール……」

僕が声をかけると、ノワールはゆっくりと僕の方を向く。何があったのか分からないけど、ノワールは辛そうな、絶望したような表情で涙を流していた。

そんな顔をしないで。僕まで、辛くなるじゃないか。心が、抉られる。痛い、苦しい、辛い。

「……大丈夫?」
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