世界くんのタカラモノ
「結菜?どうした?」

殿村がしゃがみ込むとすぐに結菜を覗き込む。一瞬気分が悪いのかと思って慌てたが、どうもそうじゃなさそうだ。同じことを感じてるのだろう。殿村が再度結菜に声をかける。

「結菜?言ってごらん」

「お父さん、あのね……これ……欲しいの」

(ん?欲しい)

見れば結菜の小さな両手はドーム型にされて地面を押さえつけている。

「結菜ね、バッタさん捕まえてるの。お父さん獲ってー」

「ん?バッタ?結菜バッタ好きだったっけ?」

結菜は首を振りながら宇宙と銀河に目をやった。

「宇宙くんと銀河くん、それここに置いて」

「分かった」
「うん、ここに置くね」

すぐに宇宙と銀河が結菜のそばにしゃがむと虫籠を地面に置いた。

「宇宙くんと銀河くんのお母さんが、バッタ先生好きだから見せてあげたいんだって。だから結菜もお手伝いしたの。でも掴むのは怖くて」

「成程ね、じゃあお父さんがその結菜の掌の下にいるバッタをこの虫籠へ入れたらいいんだね」

頷いた結菜の頭を殿村がそっと撫でた。

(マジか……結菜の掌の下に黄緑色のヤツがいんのかよ……)

「ねぇ、結菜のパパはバッタ触れる?」

宇宙が殿村に心配そうに訊ねた。
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