世界くんのタカラモノ
「ん?おじさんは全然触れるよ。バッタもセミもカブトムシもよく山に小さい頃取りに行ったからね」

「すげぇっ」
「おじさんカッコいいね」

殿村の返事に宇宙と銀河が目をキラキラさせた。

(さすが天下のお殿様はマジで苦手なモンねぇんだな……くそ……)

殿村が結菜の掌を少しずつ伺うように解いていく。宇宙と銀河も食い入るように見つめている。俺は思い切って声を上げた。

「やっぱ俺が取ります!」

殿村は結菜の掌から掌を離すと不思議そうな顔をしている。

「俺、実は虫取りめちゃくちゃ得意なんで」

(大丈夫だ。アスパラガスの先っちょだと思えば問題ない。なんとしても子供達及び梅子のカッコいいを手に入れたい……)

「そうか?じゃあせっかくだし御堂にお願いしようかな」

殿村が唇を持ち上げると結菜の隣を俺に譲る。

俺はすぐにしゃがみ込むと大きく深呼吸した。たらりと背中に流れる汗は暑さじゃなく間違いなく緊張と恐怖からだろう。

(やるんだ!俺っ!)

俺は両手を開いて閉じてを繰り返した。

「ねぇパパ?大丈夫?」
「もしかしてパパコワイの?」

俺は宇宙と銀河の言葉に引き攣りそうになりながらも辛うじて笑顔を貼り付ける。

「んな訳ねぇだろ……お前らとママの為に俺がバッタ先生並みに一瞬で捕まえてやるからな。目見開いて息止めて見てろよ」

(あぁ、自分でハードル上げてどうすんだよっ)
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