スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

(なんでよりにもよって瀧澤専務なの?)

 この世には数多の男性がいるというのに、よりにもよってとんでもない人に恋をしてしまった。愚かな自分を怨むばかりだ。
 いつから瀧澤が好きだったのか。
 一晩一緒に過ごしてから?あるいは、それ以前から?
 恋のきっかけを論じることは、無駄な行為だった。大事なのは今、この瞬間。
 己の恋心を自覚し、光莉は極力瀧澤と会うのを避けるようになった。
 会いたいのに、会いたくない。
 瀧澤を恋しいと思う一方で、なまじ身体の関係を持ってしまっているため、邪な葛藤に苛まれていた。

(好きって言ったら迷惑だよね……)

 思い余って好きとさえ言わなければ、瀧澤と大人のカンケイを続けることができてしまう。瀧澤に疎まれ、他の女性と一緒くたにされるくらいなら、セフレのままでいい。臆病者の不純な言い訳だ。
 光莉自身、この恋心をどうするべきなのか持て余し始めている。
 しかし、会いたくないと思っている時に限って、食事に誘われてしまうのだった。

『露希から預かっている物がある。食事に行かないか?』

 露希からの預かり物を口実に食事に誘われた光莉は、目ん玉が天井まで飛び出るぐらいお高い鰻屋に連れて行かれた。
 カウンターに座ってすぐ渡されたのは、DVD数枚が入った紙袋だった。黄金塚歌劇団時代に露希が出演していた舞台のもので、光莉が見たいと言っていたのを覚えていてくれたようだ。

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