スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
『例の件で話がある。食事に行かないか?』
瀧澤からそうメッセージが届いたのは二次会に出席した翌週のことだった。
瀧澤に誘われやって来たのは、著名人御用達の老舗豆腐懐石料亭だった。楚々とした仲居に趣深い個室の和室に案内される。
一枚杉の素敵なテーブルに向かい合い、ふかふかの座布団の上に正座する。
「日本酒は飲めるか?」
「はい!大好きです!」
瀧澤はお勧めだという大吟醸を頼んでくれた。お猪口に注ぎ合い乾杯すると、濁りが一切ない透明な液体を口に含む。
鼻を抜ける芳醇な香りと、口に広がるすっきりとした甘み。ひと口飲んだだけでわかる……絶対お高いやつだ!
乾杯が終わると美味しそうな料理が運ばれてきた。
箸をつける前に瀧澤は本題に入った。
「実は上海の新ホテルの件、契約がとれたんだ」
「本当ですか!?」
「ああ、来週には正式な発注がくる。君のおかげだ。本当にありがとう」
「いえいえ!私は大したことをしていませんよ。全部瀧澤専務のお力です!」
「謙遜しなくていい」
謙遜するもなにも事実だ。
光莉はただ楽しくテニスに興じただけで、サンライズホテルグループについての下調べや、見積もりや提案資料を用意したのは全て瀧澤だ。
契約に漕ぎ着けられたのは安西が瀧澤の情熱や仕事ぶりを認めたからに他ならない。