出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜
「りょりょりょ、龍さん⁈ だ、誰っすか? この可愛い子⁈」
いきなりシャキッと立ち上がる糸井にたじろぎながら実乃莉はとりあえず会釈する。
「誰でもいいだろう」
龍は視線を落としたまま袋からシュークリームを二つ取り出すと、面倒くさそうに袋を糸井に押し付けた。
「まさか……新しい彼女? 龍さん趣味変わりました⁈」
袋を奪うように受け取ると糸井は龍ににじりよる。
「ちげーよ」
「なら、ほら! 求人かけてるのに一向に決まらない深雪さんの後任とか⁈」
糸井の迫力に押されるように龍は体を反らしている。それにつられて実乃莉も気持ちあとずさる。
「だから違う。誰でもいいだろ。ただの客だ。それよりお前、いいのか? 油売ってて。このままじゃ"二徹"だぞ?」
呆れ果てたように龍が吐き出すと、糸井はその場にどさりと袋を落とし頭を抱えた。
「やめてー‼︎ 女神様に会えたのに現実に引き戻さないでー!」
今まで遭遇したことのないようなオーバーリアクションを、実乃莉は呆気に取られながら眺めていた。そんな実乃莉の前に、糸井はツカツカと歩み出たかと思うと、さっきまでとは打って変わって真剣な表情で実乃莉を見据えた。
「初めまして。糸井陽慈と申します。"糸ようじ"ではありません。糸井です。女神様。名前を教えていただけませんか?」
龍に見せていた態度とは違い、糸井は芝居掛かったワザとらしい低い声で尋ねた。
実乃莉は左右をキョロキョロ見渡したあと自分を指さす。
「女神様って……もしかして、私のこと、でしょうか?」
「もちろんです!」
勢いよく頷く糸井に圧倒されながら実乃莉はおずおずと口を開いた。
「鷹柳……実乃莉と申します」
「実乃莉さん! 名前まで可愛らしいですね!」
「……糸井。そこまでだ」
手を握らんばかりに近寄った糸井と困惑している実乃莉の間に険しい顔で割って入ったのは龍だった。
いきなりシャキッと立ち上がる糸井にたじろぎながら実乃莉はとりあえず会釈する。
「誰でもいいだろう」
龍は視線を落としたまま袋からシュークリームを二つ取り出すと、面倒くさそうに袋を糸井に押し付けた。
「まさか……新しい彼女? 龍さん趣味変わりました⁈」
袋を奪うように受け取ると糸井は龍ににじりよる。
「ちげーよ」
「なら、ほら! 求人かけてるのに一向に決まらない深雪さんの後任とか⁈」
糸井の迫力に押されるように龍は体を反らしている。それにつられて実乃莉も気持ちあとずさる。
「だから違う。誰でもいいだろ。ただの客だ。それよりお前、いいのか? 油売ってて。このままじゃ"二徹"だぞ?」
呆れ果てたように龍が吐き出すと、糸井はその場にどさりと袋を落とし頭を抱えた。
「やめてー‼︎ 女神様に会えたのに現実に引き戻さないでー!」
今まで遭遇したことのないようなオーバーリアクションを、実乃莉は呆気に取られながら眺めていた。そんな実乃莉の前に、糸井はツカツカと歩み出たかと思うと、さっきまでとは打って変わって真剣な表情で実乃莉を見据えた。
「初めまして。糸井陽慈と申します。"糸ようじ"ではありません。糸井です。女神様。名前を教えていただけませんか?」
龍に見せていた態度とは違い、糸井は芝居掛かったワザとらしい低い声で尋ねた。
実乃莉は左右をキョロキョロ見渡したあと自分を指さす。
「女神様って……もしかして、私のこと、でしょうか?」
「もちろんです!」
勢いよく頷く糸井に圧倒されながら実乃莉はおずおずと口を開いた。
「鷹柳……実乃莉と申します」
「実乃莉さん! 名前まで可愛らしいですね!」
「……糸井。そこまでだ」
手を握らんばかりに近寄った糸井と困惑している実乃莉の間に険しい顔で割って入ったのは龍だった。