出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜
「これでいいか? こっちがよければ交換するが」
龍は実乃莉に麦茶を差し出しながら、自分の持つブラックコーヒーを掲げて見せた。
「いえ。こちらで。実はコーヒーは苦手で……」
「だと思った」
龍は表情を緩めてフフッ笑う。その顔を見て実乃莉は意外に思った。
最初こそ人を寄せ付けないような雰囲気があったが、今は全く違う。孤高の獅子から、懐いてきた猫になったような感覚がした。
龍はネクタイを緩めると、すぐにシュークリームを開けて食べ始める。豪快な食べ方で、すぐに無くなってしまいそうだ。
「どうした? 食べないのか? 結構美味いぞ?」
怪訝な表情を浮かべた龍に言われ、実乃莉はハッとする。まさか、目を奪われてました、なんて言えるはずもなく、慌てて実乃莉もシュークリームの袋を開けた。
「いただきます」
実乃莉が食べ始めると、龍はもう食べ終わりコーヒーを口に運んでいた。
「なんだ? さっきから。何かおかしかったか?」
「その……あまりにも早く召し上がるので……」
不躾に見ていたことに気づかれていて気まずくなるが、実乃莉は正直に答えた。
「あぁ。悪いな、早食いが板についてるんだ。あんたはゆっくり食べればいい。その間に話しをするがいいか?」
「はい。どうぞ」
実乃莉が龍に向かい頷くと、龍は話を始めた。
「さっきは俺の頼みを、なんて言ったが、よく考えれば一番大事なことを聞くのを忘れていた。率直に聞くが、あんた付き合ってる相手、いるのか?」
「…………えっ?」
思ってもみなかった質問に、思わず掴んでいた指に力が入る。押し出されたクリームが溢れそうになっているのに気づき力を緩めた。
「その様子じゃ、いないってことでいいか?」
なんとなく狼狽えている実乃莉の様子を見てなのか、龍は口角を上げている。
「はい。……おりません」
小さくなって答える実乃莉に、龍は笑みを浮かべ言った。
「じゃあ、俺の恋人……いや、将来的には婚約者になってくれ」
龍は実乃莉に麦茶を差し出しながら、自分の持つブラックコーヒーを掲げて見せた。
「いえ。こちらで。実はコーヒーは苦手で……」
「だと思った」
龍は表情を緩めてフフッ笑う。その顔を見て実乃莉は意外に思った。
最初こそ人を寄せ付けないような雰囲気があったが、今は全く違う。孤高の獅子から、懐いてきた猫になったような感覚がした。
龍はネクタイを緩めると、すぐにシュークリームを開けて食べ始める。豪快な食べ方で、すぐに無くなってしまいそうだ。
「どうした? 食べないのか? 結構美味いぞ?」
怪訝な表情を浮かべた龍に言われ、実乃莉はハッとする。まさか、目を奪われてました、なんて言えるはずもなく、慌てて実乃莉もシュークリームの袋を開けた。
「いただきます」
実乃莉が食べ始めると、龍はもう食べ終わりコーヒーを口に運んでいた。
「なんだ? さっきから。何かおかしかったか?」
「その……あまりにも早く召し上がるので……」
不躾に見ていたことに気づかれていて気まずくなるが、実乃莉は正直に答えた。
「あぁ。悪いな、早食いが板についてるんだ。あんたはゆっくり食べればいい。その間に話しをするがいいか?」
「はい。どうぞ」
実乃莉が龍に向かい頷くと、龍は話を始めた。
「さっきは俺の頼みを、なんて言ったが、よく考えれば一番大事なことを聞くのを忘れていた。率直に聞くが、あんた付き合ってる相手、いるのか?」
「…………えっ?」
思ってもみなかった質問に、思わず掴んでいた指に力が入る。押し出されたクリームが溢れそうになっているのに気づき力を緩めた。
「その様子じゃ、いないってことでいいか?」
なんとなく狼狽えている実乃莉の様子を見てなのか、龍は口角を上げている。
「はい。……おりません」
小さくなって答える実乃莉に、龍は笑みを浮かべ言った。
「じゃあ、俺の恋人……いや、将来的には婚約者になってくれ」