絶対に結婚したくない令嬢、辺境のケダモノと呼ばれる将軍閣下の押しかけ妻になる
「えっ?」
突然とも思えるフランチェスカの発言に、その場に立ち尽くしていた使用人たちが驚いたように顔をあげた。
「あの煙の位置からして、町の中心で火事が起きているのは間違いありません! これからけが人が増えるはずです。だから屋敷を解放して、けが人、お年寄りや小さな子ども、避難が必要な人は全員迎え入れてください!」
フランチェスカの言葉に、その場にいた全員がすうっと息をのむのが伝わって来た。
「畏まりました! 門を開けろ!」
「屋敷中の清潔なシーツや毛布を集めましょう!」
一斉に動き始める使用人たちを見て、フランチェスカは今にも叫びたくなる不安をのみ込み、奥歯を噛みしめる。
マティアスのことを考えると不安で胸がつぶれそうになるが、彼は軍人だ。人生の半分以上をベッドで過ごした自分よりもずっと強い。
(あの人が死ぬわけがない! 絶対に死なない!)
フランチェスカは街の中心地へと走り出した馬車を見送り、改めて不安そうに側で立ち尽くしていたアンナの手をつかんで、ぎゅっと握りしめる。
「アンナ、今は人手がいるわ。私たちもやれることをやりましょう」
「……わかりました」
呆けていたアンナの表情も、いつもらしさが戻ってくる。
(マティアス様……私は領主の妻として、役目を果たします……!)
フランチェスカは白い無理を見つめながら、唇を強く引き結んだのだった。
それから次々と運び込まれるけが人の治療や炊き出しの手伝いが完全に終わったのは、夜がしらじらと明けた頃だった。
避難するときに転んでけがをしたお年寄りの手当てを終えたフランチェスカは、ゆっくりと立ち上がってエントランスを見回した。
屋敷内に迎え入れた領民は百人程度だ。病人は屋敷中のベッドに寝かせているが、さすがに足らないのでエントランスにも領民が溢れている。
(マティアス様は、大丈夫なのかしら。お怪我をされていないかしら……)
火事はいったいどうなったのだろう。
町の中央の方に目を凝らすが、もう家事発生時の時のような煙は見えなかった。
突然とも思えるフランチェスカの発言に、その場に立ち尽くしていた使用人たちが驚いたように顔をあげた。
「あの煙の位置からして、町の中心で火事が起きているのは間違いありません! これからけが人が増えるはずです。だから屋敷を解放して、けが人、お年寄りや小さな子ども、避難が必要な人は全員迎え入れてください!」
フランチェスカの言葉に、その場にいた全員がすうっと息をのむのが伝わって来た。
「畏まりました! 門を開けろ!」
「屋敷中の清潔なシーツや毛布を集めましょう!」
一斉に動き始める使用人たちを見て、フランチェスカは今にも叫びたくなる不安をのみ込み、奥歯を噛みしめる。
マティアスのことを考えると不安で胸がつぶれそうになるが、彼は軍人だ。人生の半分以上をベッドで過ごした自分よりもずっと強い。
(あの人が死ぬわけがない! 絶対に死なない!)
フランチェスカは街の中心地へと走り出した馬車を見送り、改めて不安そうに側で立ち尽くしていたアンナの手をつかんで、ぎゅっと握りしめる。
「アンナ、今は人手がいるわ。私たちもやれることをやりましょう」
「……わかりました」
呆けていたアンナの表情も、いつもらしさが戻ってくる。
(マティアス様……私は領主の妻として、役目を果たします……!)
フランチェスカは白い無理を見つめながら、唇を強く引き結んだのだった。
それから次々と運び込まれるけが人の治療や炊き出しの手伝いが完全に終わったのは、夜がしらじらと明けた頃だった。
避難するときに転んでけがをしたお年寄りの手当てを終えたフランチェスカは、ゆっくりと立ち上がってエントランスを見回した。
屋敷内に迎え入れた領民は百人程度だ。病人は屋敷中のベッドに寝かせているが、さすがに足らないのでエントランスにも領民が溢れている。
(マティアス様は、大丈夫なのかしら。お怪我をされていないかしら……)
火事はいったいどうなったのだろう。
町の中央の方に目を凝らすが、もう家事発生時の時のような煙は見えなかった。