絶対に結婚したくない令嬢、辺境のケダモノと呼ばれる将軍閣下の押しかけ妻になる
それからしばらくして、午後のお茶の時間を終える頃に、アンナが軍服姿の男性を連れて戻ってきた。
年のころはマティアスと同じくらいだろうか。丁寧に頭を下げた男は、ずいぶんな色男だった。
「初めまして奥様。ルイスと申します。本日の護衛を務めさせていただきます」
こげ茶色の髪と少し垂れ目の紅茶色の瞳をしていて、すらりとした体躯を軍服に包んでいる。
「こう見えて十年前からマティアスの副官でもあります。ジョエル様をお助けした時も一緒にいたんですよ」
マティアスがいかにも軍人然とした男だとしたら、この男はまるで正反対でどこか舞台俳優のような雰囲気があった。
「まぁ、そうだったのね。兄の命を救ってくださったこと、家族を代表して感謝申し上げます」
フランチェスカは立ち上がり、ドレスの裾をつまんで会釈する。それを見たルイスは慌てたように顔の前で手を振った。
「いやいや、そんな俺がお礼を言われるようなことはありません。助けると決めたのはマティアスだし、ジョエル様を背中に括り付けて走ったのも、全部あの人ですから」
そしてニコニコと微笑みながら顎のあたりを指で撫でながら、フランチェスカを見おろした。
「僭越ながら申し上げます。今日はお買い物をされるということですが、もう少し庶民の格好をなさいませんと、目立ちすぎるかと」
「あらっ、そうなのね? わかりました。すぐに着替えます。アンナ、とりあえず今日はあなたの服を貸してくれる?」
フランチェスカとしては実家で着ていた部屋着なのだが、どうやら装飾過剰らしい。
「私の服ですか?」
アンナは驚いたように目を見開いたが、王都から持ってきたくるみ製の収納箱には、部屋着一枚にしても目立たない服は一枚も入っていないことに気づいたようだ。
「……わかりました」
アンナがうなずくと、ルイスは胸元に手を当てて丁寧に頭を下げる。
「では馬車の用意をしてお待ちしております」
そう言って部屋を出て行った。
年のころはマティアスと同じくらいだろうか。丁寧に頭を下げた男は、ずいぶんな色男だった。
「初めまして奥様。ルイスと申します。本日の護衛を務めさせていただきます」
こげ茶色の髪と少し垂れ目の紅茶色の瞳をしていて、すらりとした体躯を軍服に包んでいる。
「こう見えて十年前からマティアスの副官でもあります。ジョエル様をお助けした時も一緒にいたんですよ」
マティアスがいかにも軍人然とした男だとしたら、この男はまるで正反対でどこか舞台俳優のような雰囲気があった。
「まぁ、そうだったのね。兄の命を救ってくださったこと、家族を代表して感謝申し上げます」
フランチェスカは立ち上がり、ドレスの裾をつまんで会釈する。それを見たルイスは慌てたように顔の前で手を振った。
「いやいや、そんな俺がお礼を言われるようなことはありません。助けると決めたのはマティアスだし、ジョエル様を背中に括り付けて走ったのも、全部あの人ですから」
そしてニコニコと微笑みながら顎のあたりを指で撫でながら、フランチェスカを見おろした。
「僭越ながら申し上げます。今日はお買い物をされるということですが、もう少し庶民の格好をなさいませんと、目立ちすぎるかと」
「あらっ、そうなのね? わかりました。すぐに着替えます。アンナ、とりあえず今日はあなたの服を貸してくれる?」
フランチェスカとしては実家で着ていた部屋着なのだが、どうやら装飾過剰らしい。
「私の服ですか?」
アンナは驚いたように目を見開いたが、王都から持ってきたくるみ製の収納箱には、部屋着一枚にしても目立たない服は一枚も入っていないことに気づいたようだ。
「……わかりました」
アンナがうなずくと、ルイスは胸元に手を当てて丁寧に頭を下げる。
「では馬車の用意をしてお待ちしております」
そう言って部屋を出て行った。