偶然?必然?運命です!
授業が始まった。
一時間目は英語。
正直、勉強は好きではない。
英語なんて……宇宙語だと思う。
音楽だと思う。
眠気を誘う子守唄。
現に岸井くんは寝てる。
机に突っ伏して、堂々と寝てる。
「ふわぁ」
先生が黒板に英文を書くためにこっちに背中を向けた瞬間に欠伸。
ね……眠い。
昨日寝たのも午前零時を過ぎていたし……。
少しだけ……ほんの少しだけ……。
閉じようとする瞼には敵わずに、私は目を閉じた。
バシッ!!
「!?」
バシッ!!
「イテッ!?」
頭に結構なる衝撃を受けて目を覚ます。
ヤバッ!!
寝てた!!
「……」
目の前に人影が……。
そして横を見ると岸井くんも起きて頭を押さえていた。
どうやら私達は教科書で頭を叩かれたらしい。
岸井くんと目が合う。
そして
「「……」」
ソローリと二人で同時に前を見て、少し視線を上げると……
仁王立ちの先生が居た。
なんと!!
担任の先生、今田先生が英語担当だったのだ!!
……体育担当だと思っていた。
「月城?」
「何も!!何も思ってはいません!!」
眼光が怖い!!
「先生これには深い理由が」
「あるのか」
「……ありません」
先生が岸井くんの方を向く。
「俺も深い理由が」
「あるのか」
「……特にない」
ゴチーンッ!!
二人とも、拳骨をくらいました。
痛ーーいっ!!
「寝るなよ……お前は」
「岸井くんこそ……」
机の上で悶絶する私達を、やっぱりあの女のコが見てきた。
見てきたというより睨んできた……か。
名前を知ったのは、一時間目が終わって次の授業までの十分の間だった。
彼女の名前は納谷翡翠(なや ひすい)さん。