偶然?必然?運命です!

あまりにもこっちを見てくるから、十分休憩の時に席に寄ってきてくれたクラスメイトに聞いたのだ。



一匹狼的存在で、クラスメイトの誰ともつるまないらしい。


でもそんな彼女もたった一人だけとは話すのだという。


そう!!


岸井くんである。


そうか……そうか。


納得。


あの視線は    


嫉妬!!


恋敵というわけね!!


納谷さんを見ると、一人静かに本を読んでいる。


けれど私の視線に気付いたのか、本から顔を上げこっちを見た。


目が合う。



バチバチバチーーッッ!!!!



火花が散り。




「「……」」




フッと微笑み合う。



負けないもんね。



だって私、初恋だもの!!



初恋は実らない!?



そんなの迷信だって証明してやるんだから!!



「教えてくれて、ありがとう。えっと……」


「あたしの名前は吉野愛真よしのえま。よろしくね、月城さん」


「吉野さん、よろしく」



吉野さんとは仲良くなれそうだな。


そうしている内にチャイムが鳴って、二時間目が始まる。


「おい」


「うん?」



チャイムと同時に女の先生が入ってくる。


二時間目は数学だ。


……苦手科目ばかりこなくても。


まぁ、得意な科目といえば体育ぐらいなんだけど。


そんなことを思っていたら、岸井くんに話しかけられた。


何、何!?


先生に聞こえないように小さな声。


必然、距離が縮まる。


キャーーッ。



「手を組もうぜ」


「??」



手?


私は手を出す。



「違う。そういう意味じゃない」


「??」


「授業中どっちかが寝て、もう一人は起きとく。先生が近づいてきたり当てられたりしたら寝てる方を起こす」


「!!」



な……なんて良い考え!!



「良いね!!それ!!」


「だろ?じゃあ頼んだ」



そう言うと、岸井くんはまた寝始めた。


よく寝るね、岸井くん。


寝る子は育つって言うけど、育ち盛り?


ならばしっかり寝かせてあげないと!!


任せて、私が立派に見張り役をつとめ……



「……」



Zzzz……
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