偶然?必然?運命です!
「わぁああっ!!凄い!!」


私は胸まである鉄の柵に駆け寄って身を乗り出した。


眼前に広がるのはカラフルな屋根がなんとも可愛らしい街並み。


高台にある学校だから屋上となれば街を一望できるのだ。



そう私達は今、屋上に居た。



「その柵、古いから気を付けろよ」


「うぇっ!?」



慌てて飛び退く。


あぶっ、危ない!!



「ハハッ!!そんなにすぐすぐは落ちないが、老朽化が激しいから“ここ”は立ち入り禁止になってんだよ」



そう言った岸井くんは、色褪せた三人掛けのソファーにドカッと座った。



そう私達は、屋上に居た。



この屋上は立ち入り禁止らしく、ここに来るまでの階段には立ち入り禁止の看板とロープまでしてあった。



その二つにビビる私。



でも岸井くんはロープをないもののように跨ぎ、階段を上がっていく。



ロープの意味とは……



なんて考えていたら、「来ないのか?」と振り返られ……



先生、ごめんなさい!!


私、悪になります!!


との覚悟の元ロープを跨ぎ、今に至る。



屋上への扉は特に鍵がされているわけでもなく……



入りたい放題じゃないか。



それでも、ここには私と岸井くん二人だけ。



綺麗な真っ青な空の下は、風もありとても気持ちが良くまるでピクニック気分。



って、私は何処に座れば良いの?



レジャーシートなんて持ってるわけもない。



ワタワタしていると、岸井くんが自分の隣のソファーを叩いた。



「!!」


「早く座って食べないと昼休み終わるぞ」


「うん!!」



お邪魔します、と隣に座る。


色褪せているけれど座り心地は抜群のソファー。


立ち入り禁止のこの場所に、誰がなんのために置いたのだろう?
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