結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
「女性に声かけられるのが嫌で、俺が入る!って進んで入ったんですから」

「愛されてますね、瑞木係長」

矢崎くんが進んで入ったのまでは理解する。
だって一緒に街を歩いているときも、声をかけようとする人がいるもの。
まあ、だいたい、彼から冷たい視線を送られて退散していくけどね。
でも、最後の「愛されてますね」がわからない。
私に秘密と言いながら、矢崎くんは会社で私と結婚したとか話しているのか?

「え、えーっと……?」

困惑している私を無視して、三人は話を続けていく。

「今日の手伝いもいつもお世話になってるからーとか言ってたけど、あきらかに瑞木係長のためだし」

「あれで隠してるつもりなんっすかね?
もうバレバレっすよ」

「もしかしてこれで、一気に距離を詰めようと思ってるとか?」

「ありえるー!」

上司の話だというのにけらけらと軽く笑う三人を、呆然と見ていた。

「まあ俺らは、高級焼き肉にありつけるんでいいですけど!」

「あ、これ、俺らが言ったの、矢崎課長には秘密で。
あの人、バレてないと思ってるんですから」

悪戯っぽくひとりが、人差し指を唇に当てる。

「あー、うん。
わかったよ……。
今日はありがとう」

そのままふらふらと控え室を出た。
あれか?
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