結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
だからこそ彼女を司会にするのは避けたほうがいいんじゃないかと、上司に提言したのだ。
しかし上司は本人がやりたいと言っているんだからやらせてあげればいい、だし。
加古川さんも加古川さんで万が一、子供の具合が悪くなっても旦那か母親に面倒見てもらえるから大丈夫だと言っていたのだ。
それがこれだ。
しかもあの口ぶりだと、母親は前から今日は旅行の予定でも入っていたんじゃないだろうか。

「あー、もー」

しかしうだうだ文句を言ったところで急にお子さんが全快したり、旦那さんの仕事がなくなるわけでもない。
それにこうなることを見越して、準備をしてきたのだ。
司会の段取りと台本はしっかり頭に入っている。

「どうした?」

私が頭を抱えているからか、矢崎くんが心配そうに聞いてくる。

「やるしかないよね!」

気合いを入れて勢いよく頭を上げた瞬間。
後頭部がなにかにぶつかった。

「いてっ!」

同時に矢崎くんの悲鳴が聞こえてくる。

「へ?」

見たら彼が、額を押さえてうずくまっていた。
状況的に私に頭が彼の額にぶつかった?

「えっ、あっ、ごめ……!」

不幸とは続くもので。
今度は一歩踏み出した、私の足の下で、嫌な音がした。
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