結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
出汁は家政婦さんが取って、ボトルで常備してくれているしね。

「それでもさー」

まだうだうだ矢崎くんは言っていて、もう笑うしかできない。

「家事なんて手が空いてる人がやればいいんだよ。
今は矢崎くんが忙しいから、私がするだけ。
落ち着いたらまた、作ってもらうし。
というか、お味噌汁は矢崎くんが作ったののほうが美味しい」

「そうか!
じゃあ、仕事が片付いたらまた、作ってやるな!」

矢崎くんの顔が輝き、一気に上機嫌になる。
これくらいで喜んでくれるなんて、チョロくてよかった。
でも、そういうところが可愛いと思っているのも事実だ。



土曜日、矢崎くんは休日出勤だった。

「パパがいないと淋しいねぇ」

「あん!」

同意するようにイブキが鳴く。
契約は来週。
上手くいけばいいと思うのと同時に、破棄になればいいと願っている自分もいる。
そんなの、矢崎くんは酷く落ち込むし、彼の将来にも関わってくるのはわかっているのに。
でも、ダメになれば彼の社長への道は遠のき、私を家族へ紹介するのが伸びる。
そうなればもっと長く、彼と一緒にいられるのだ。

「ああ、もう!」

自分のいけない考えを振り払うように、思いっきり両手で顔を挟んで頬を叩いた。
私は、矢崎くんに幸せになってほしい。
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