結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
これならすぐに使えるし、あのタイピンが映えるものにしたら喜んでくれないかな?
それにプレゼントは多くてもいいのだ。

お店の方の意見も参考に、悩んで濃紺の無地ネクタイに決める。
暗い色に明るいアクアマリンはよく映えるからね。

「ありがとうございました」

お店を出たところで携帯が鳴った。
矢崎くんから今、電車に乗ったとメッセージが届いている。
了解だと返し、私も駅へ向かった。

「待たせたな」

「全然」

改札の前で彼と合流する。

「どこに行く?」

「あー……。
純華の好きなところでいいよ」

「もうっ!
私の好きなところって、矢崎くんの眼鏡を買いに行くんだよ?」

曖昧に笑って答える彼が不満で、唇を尖らせる。

「だって俺の行きつけのところだと、レンズ代が……その、な」

しかし、なんか適当な感じで矢崎くんは誤魔化してきた。

「レンズ代がなんなのよ」

「うっ」

私に詰め寄られ、彼が声を詰まらせる。
どうどうと手で私を宥めるようにし、しばらくは視線をあわせないようにしていたが、そのうち諦めたかのようにため息をひとつ落とした。

「……レンズ代がバカ高いんだ」

「は?」

彼がなにを言いたいのかいまいちわからない。
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