結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
ファストのレンズ込みのお店じゃないから、高いってこと?
それくらい、織り込み済みだ。

「レンズ代が別にかかるのくらい、いいけど?」

「別にかかるとかいう次元の問題じゃなく、……オーダーだから十万単位でかかるんだ」

「……は?」

理解すると同時に嫌な汗をだらだらと掻いた。
もしかして……。

「……ちなみに。
私がこのあいだ壊した眼鏡って、どれくらいするの?」

「……知らないほうがいい」

すーっと気まずそうに矢崎くんがレンズの向こうで目を逸らす。
それでさらに、汗が噴き出てきた。

「……なんか、ごめん」

申し訳なさすぎて、スーツの袖を軽くちょんと摘まんで俯く。
そんな恐ろしく高い眼鏡がこの世に存在するなんて知らなかった。
しかもあの眼鏡は私たちが結婚する少し前にできたといっていたのだ。

「いや、別にいい。
形あるものはいつか壊れるんだし。
それに、あの眼鏡が壊れたおかげで、今日は純華が俺の眼鏡を選んでくれるんだろ?
これはこれでラッキーだ」

慰めるように彼が、私の頭を軽くぽんぽんと叩く。

「……ありがと」

矢崎くんはやっぱり優しいな。
だから、好きなんだけれど。

少し歩いてリサーチしてあった眼鏡店を何軒かのぞく。

「これとかどうだ?」

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